【新唐人2014年5月5日】4月30日、新疆ウイグル自治区のウルムチ南駅で起きた爆発事件では、大勢が死傷しました。当局は「暴力テロ事件」と断定しましたが、海外メディアは慎重な見方をしています。また、当局は少数民族政策を見直すべきだとの声や、当局は事件を911テロの流れに乗せようとしているとの意見もあります。
習近平国家主席が4月30日の正午ごろ、ウルムチを離れてから、その日の夜、爆発事件が起きました。5時間後、国営メディアは「爆発と同時に、刃物を持った人物が周りの市民を襲った」と伝え、さらに、当局の捜査で「暴力テロ事件」だと判明したと報道しました。
5月1日には、爆発で死亡した3人のうち、2人が容疑者だったとして、当局が「事件の解決」を宣言しました。
しかし、事件が起きた夜、中国の映画監督、劉猛氏は、マイクロブログに実名で「警察が通行人のチェックをしていた時、爆発が起きてその場で警察官3人が死亡した」と投稿しましたが、1万回転送されたあと削除されました。
ある地元市民は、犯人は市民を襲ったあと、起爆する前に逃げたという目撃証言を聞いたそうです。ただこれらの噂に関して、当局に確認することができません。
中国問題評論家 李善鑒さん
「大きな国営メディアが『解決』と報道しましたが、証拠がないので、世論の誘導でしかなく、事実の報道ではありません」
今回の事件は、国営メディアが唯一の公式の情報源なので、海外メディアは細心の注意を払って報道し、当局の見解を鵜呑みにはしていません。
例えばロイター通信やAP通信は、「攻撃」「爆発」などの中立の言葉で事件を報道しており、当局が発表した「テロ」の言葉は引用の形にしています。ワシントンポストやガーディアンなどの新聞も同様です。
中国問題評論家 李善鑒さん
「911テロのあと、テロは各国が直面する重要な問題になりました。中国はそれを利用し、少数民族地区の暴力的な統治を隠して、多くの事件にテロのレッテルを貼りました。時間も経ったので、外国メディアも分かっています」
評論家の長平氏は香港のアップルデイリーに、アメリカの911テロと比べる文章を掲載しました。「選挙で選ばれた大統領が直面する脅威は、事件の処理に失敗して、国民の信頼を失い、選挙で落選することだが、独裁国家ではそのような理論は存在しないと」述べています。
ニューヨーク市立大学 夏明教授
「欧米と中国の最も根本的な違いは、中国政府は問題の根っこを回避し、責任逃れをします。しかし欧米は多くの政府が誤りを認めます。中国政府は『テロ』で、問題を回避します」
夏明教授は、事件によって多くの罪のない市民が犠牲になった点を批判するだけでなく、2つの問題に注目すべきだと述べます。なぜ同様の事件が続発するのか、そして少数民族はなぜ絶望し、自分の命すら捨てるのか、ということです。
評論家の李さんは、中国当局による暴力的な手段は、矛盾を隠し、危機を先送りすることはできても、真の解決にはならないと述べます。
中国問題評論家 李善鑒さん
「たとえ暴力やテロの要素がある事件でも、根本原因は中共の民族政策が招いた矛盾です。今回の事件も民族の矛盾の反映では?事件をテロとまだ断定できないでしょう。一部の政治勢力が混乱を起こすため、画策したのかもしれません」
爆発の起きた日、アメリカ国務省は去年1年間のテロに関する報告書を発表しました。その中で、「中国当局にテロと断定された事件の多くは証拠が不足しており、第三者による確認も難しいため、天安門広場に車が突入した事件を含めて、テロ事件に分類できない」と述べています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2014/05/03/a1107249.html(中国語)
(翻訳/河合 ナレーター/水田 映像編集/工)